ワクチン、各種予防
ワクチン、各種予防
ワクチンを接種することで感染症の感染を予防したりその症状を軽減したりすることができます。動物病院においてメインとなるのは狂犬病ワクチン(犬のみ)、混合ワクチンとなります。
混合ワクチンとは1回の接種で複数種の感染症を予防することのできるワクチンです。ワクチンはその成分からコアワクチンとノンコアワクチンの2種類に分けられます。コアワクチンは重症化し致死的となる可能性のある感染症を予防できるワクチンで、以下の病原体に対するワクチンを指します
(犬)
(猫)
これらのワクチンはその感染した際のリスクの高さから定期的な接種が必要となります。これ以外のワクチンはノンコアワクチンとして分類され、接種頻度に関しては対象動物の生活様式、生活地域の環境などによって判断されるべきとされています。
代表的なノンコアワクチンの対象疾患は以下の通りです。
(犬)
(猫)
当院でご用意しているワクチンにはコアワクチンが全種含まれており、ノンコアワクチンの犬レプトスピラ感染症の有無により5種か7種かお選び頂けます。
レプトスピラは保菌したネズミが尿中に菌を排出し、その尿で汚染された土壌や水を介して感染します。犬の他ヒトにも感染する可能性のある人獣共通感染症です。上記のように水辺での感染がリスクとなることから、河川や山へよく遊びに行かれる方は検討頂くと良いと考えています。また、西日本での発生が比較的多いことから県外へよくお出かけになる方は7種ワクチンの接種をご検討ください。
ワクチン接種の回数、流れに関してはその子によって異なる場合がありますのでワクチン接種ご希望の方は過去のワクチン接種の履歴をご持参の上ご相談ください。
狂犬病はヒトを含む哺乳類全般に感染する可能性があり、発症した場合の死亡率はほぼ100%というとても危険な感染症です。海外では現代でも年に数万名の犠牲者が出ています。その伝播には犬が関与することが多く、ヒトへの伝染の99%に関与していると言われています。日本はWHOが定める清浄国ですが、海外からの流入などのリスクを抱えており国内での発生、流行の可能性はゼロではありません。
そのため日本では感染拡大の防止策として狂犬病予防法に基づき生後91日齢(生まれた日を0日目とする)以降の犬に年1回の狂犬病ワクチンの接種と登録が義務付けられています。
フィラリアとは蚊によって伝播する寄生虫疾患です。犬が主な感染対象ですが、猫にも稀に寄生することが知られています。
フィラリアに感染した犬の血を吸血すると蚊の体内にフィラリアの幼虫が入りしばらく成長します。その幼虫はまた別の犬の血を吸った際に新しくその犬に感染していきます。感染した幼虫は最初は吸われた部位の皮膚に留まりますが、成長するに従って血管の中に移動しやがて血流に乗って心臓へと到達します。そこで更に成熟し幼虫を排出するようになります。
フィラリアに寄生されると心臓、血管はダメージを受けやがて心不全へ移行し死亡します。
フィラリアによる症状を起こさないためにもフィラリア予防の実施を推奨しています。予防にはフィラリア予防薬が有効であり、しっかりと投与すれば感染を防ぐことができます。予防薬の種類には錠剤タイプ、スポット(滴下)タイプ、おやつタイプをご用意しておりますのでご希望に合うものをお選びください。蚊の活動時期によって投薬期間は決まり、当院では5月〜12月の投与をご案内しております。
また、毎年の予防開始時期にはフィラリアの感染が無いかどうかを血液検査で確認しております。もし万が一フィラリアに感染している状態で予防薬を開始するとアナフィラキシーショックなど重篤な副作用を引き起こす可能性があるためです。陰性が確認された後、予防の開始となります。前年と異なるタイプを試したい、1シーズン分ではなく数回分だけ持って帰りたいなどご要望がありましたらご相談ください。
ノミ・ダニは体の表面から血液を吸う小さな外部寄生虫です。森林や草地に潜んでおり、次に寄生(吸血)するターゲットを待ち構えています。ノミ・マダニは様々な病原体の運び屋でもあり、その中にはヒトにも感染し死に至らしめるような感染症も含まれています。ノミ・ダニを予防しておくことはご家族の健康も守ることに繋がるため予防の実施を推奨しています。
フィラリアとは異なり検査の必要はありません。地域差はありますが当院では3月から12月の温かい時期において投薬によるノミ・マダニの予防を推奨しております。
ただし、ノミは13℃以上の環境下であれば活発に吸血活動を行うことができ、そのうえ繁殖力が強く室内だと1年中生存している可能性も考えられるためノミアレルギーが疑わる場合は通年予防がおすすめです。
また、マダニは15℃以上の環境下で特に活動が活発になると言われていますが実は1年中吸血活動を行うため散歩中に草むらに積極的に入る子は1年中予防することが望まれます。
体への負担から別日での接種を推奨しています。
全身反応を起こさせる物質でありますので、別日での接種をお願いしています。また、ワクチンはごく稀ではありますが副作用を引き起こす可能性があります。同時に異なるワクチンを接種すると、副作用が出た際にどちらが原因であるか分からなくなる恐れがあります。そうなると翌年移行のワクチン接種スケジュールでどのように対応すべきか分からなくなってしまいますので別日での接種をお願いしています。
犬への狂犬病ワクチン接種は狂犬病予防法により規定されています。
日本は狂犬病の発生が長らく無い(1957年猫での発生が動物での最後の確認)ため清浄国として認定されていますが、野生動物を含めるとウイルスが根絶されているかは不明です。台湾においても同様に長らく狂犬病の発生が確認されていませんでしたが、2013年に52年ぶりに野生動物の死骸から狂犬病ウイルスが検出され、同年日本政府は台湾を清浄国リストから除外しています。この個体がどのようにウイルスに感染したかは不明ですが、国内で感染が繰り返されていた可能性は否定できません。また、海外からの感染動物の意図しない侵入などから感染が広がる可能性があります。 そのためいつ広がるかわからない感染に備えて法律ですべての飼い犬の登録、狂犬病ワクチン接種が義務付けられています。ご協力をお願い致します
適切な期間を過ぎるとターゲットとなる幼虫への効力は減弱します。それ以降は予想不能であるとされています。
予防薬という名称が用いられていますが、実際は前月までに感染した虫体を定期的に駆虫することによって予防しています。幼虫は感染後成長を続けますが、予防薬にはターゲットとしている成長段階があります。投薬期間が空いてしまうとターゲットとする幼虫の段階を過ぎてしまうため効力が落ちてしまいます。従ってなるべく遅れのないように投薬をするようにお願いしています。