消化器科
消化器科
胃や腸の炎症が起こり嘔吐・下痢・食欲不振などの症状が見られることがあります。感染や中毒、消化器の過敏反応などが原因となることがあります。多くの場合は対症療法によって良化しますが、「治るけどすぐにまた再発する」「なかなか良くならない」といった場合は複雑な病気が隠れている可能性がありますので精査が必要となります。
複雑な腸炎が疑われた場合は種々の内服薬への反応を確認した後、必要と判断されれば内視鏡や開腹手術によって腸の一部を採取し、どういった異常が見られるかを検査します。細胞検査の結果により免疫抑制剤、整腸剤の使用や療法食への変更を選択します。
また、難治性の消化器症状は必ずしも胃腸に原因である訳ではなく、ホルモンの異常から引き起こされるものもありますので注意深い検査、診断が必要です
大量の空気を飲み込んだことで胃が過剰に膨らんでしまう状態です。ひと目でわかるほどにお腹が膨らみ、外から指で弾いてみると風船のような音がするのが特徴です。涎がダラダラと出る、えづいている、吐きたそうだけど何も出てこない、苦しそうなどの症状が見られます。膨らんだ状態から更に胃がねじれると胃拡張-捻転症候群へと移行し、時に致死的となります。胃捻転は大型犬での発生のイメージをもたれている方が多いですが、高齢の小型犬でも診断する機会が多い疾患です。ミニチュアダックスフンド、シーズーでは注意が必要と考えられます。
胃の拡張によって血液の循環が悪化しショック状態になっている場合もありますので早期の対応が必要となります。初期対応としては胃を針で刺すことで中の空気を抜去し減圧する、点滴を行うなどの処置を行います。捻転に陥っている場合は緊急手術により捻れた胃を元に戻し、再度捻転しないように胃の固定を行います。
胃や腸が詰まって食物の通過が妨げられる状態で、嘔吐・食欲不振などの症状がみられることがあります。若齢の子では異物摂取による閉塞が多く、高齢になると腫瘍による閉塞が増えてきます。人の赤ちゃんでもあるような腸重積でも閉塞に至ることがあります。レントゲンや超音波などの画像検査を駆使して閉塞を検出します。胃の出口までの異物閉塞であれば内視鏡で対応できることが多いですが、それ移行の閉塞では開腹し腸を切開することで摘出する必要があります。腫瘍による閉塞では該当部位を含めた消化管の切除で対応します。
肝臓や膵臓に炎症や腫瘍が生じることで食欲不振・嘔吐・黄疸などの症状が見られることがあります。肝臓に隣接する胆嚢の異常によっても消化器症状が出現することがあります。
血液検査、超音波検査での評価が重要であり、必要に応じて特殊な血液検査も追加していきます。診断の過程では肝臓の細胞をダイレクトに評価するため肝臓の一部を採取する生検が必要となることがあります。
膵臓の病気の代表格は膵炎であり、これは文字通り膵臓に炎症を引き起こし食欲不振、嘔吐、腹痛を起こす病気です。基本的にはそれらに対する対症療法が主体であり、吐き気止め・痛み止め・点滴・栄養補助などを行います。
猫においては膵臓と胆嚢の出口が一体化しているため、ひとつの臓器に炎症が起こるとそれが波及し連鎖的に炎症を起こす「三臓器炎」という病態が知られています。
寄生虫による感染が消化器系に影響を及ぼし下痢・腹痛・体重減少などの症状が見られることがあります。
便の排出が上手くできなくなる状態です。便の性状が原因となる他、大腸が通過する骨盤の構造的な異常、大腸自体の運動性の低下が挙げられます。特に猫において発生率が高く、大腸の一部が大きく膨らみ便秘となる巨大結腸症がよく知られています。対応としては便を柔らかくしたり大腸の運動性を高めたりする内科療法や、動きの悪い大腸を切除する外科手術などが挙げられます。過去の交通事故などによって骨盤が変形している子に対しては骨盤の拡張術も選択肢に挙がります
その子によって症状の現れ方が異なるためその日の回数だけでは判断が難しいです
1回の嘔吐に付随して数回吐いたりすることもあるため回数だけで判断するのは難しいと考えています。注意して頂きたいポイントとしてはその日の嘔吐回数というよりも昨日、一昨日よりも増えているかどうか、食欲や元気はどうかなどの点です。総合的に観察し判断されることをおすすめします。判断に迷われた場合は気軽にご相談ください。
診断の一助となることもありますので可能であればご持参ください
どんな色をしているか、何が混ざっているか等を観察することで分かることもありますので持参して頂くと幸いです。ただし、時間が経過して乾いたものや少量である場合は得られる情報が少ないかもしれません。